中川紀篤
所長
なぜ「コンフォートゾーン」なのか?
- そもそもコンフォートゾーンとは何ですか?
- コンフォートゾーンは、「心の安全地帯や快適空間」のようなものです。私は、「コンフォートゾーンに居留まることが、どのような影響があるのか?」に興味を持ち、あちこち調べたことをまとめ、発信しています。
- コンフォートゾーンとは、すべての人が持っているのでしょうか?
- はい。人間が持っている自己防衛反応であり、現状を維持する生存本能のしくみです。ただ、 無意識的に現状維持をしてしまう人がいます。例えば、「新しいことをするのは危険だ。だから、今のままがいい。」などと考えてしまいます。これが、「コンフォートゾーンに居留まる」という考え方です。居留まることで、自分の可能性を狭めてしまったり、できることをやらなかったりしてしまうのは、もったいないことです。
- コンフォートゾーンに「居ること」と「居留まること」の違いは何ですか?
- 通常は私たちは、自分のコンフォートゾーンにいます。常にアンテナを張っていて、自分の身が安全か危険か、大丈夫か大丈夫でないかを嗅ぎ分けています。ところが、いつもと違う世界に出ようとしたときにも同じようなことが起きてしまう。例えば、新しい仕事、新しい人間関係などに対して、「失敗したら嫌だから、嫌われたくないから」などと考えて、可能性を自ら潰してしまうのです。
- 例えば、人柄や性格もコンフォートゾーンに当てはまりますか?
- はい。例えば、「私は人見知りなんです。」という人がいます。その方は、人見知りだと公言することで、「私からは積極的に関わりませんよ。」という言い訳を事前にしている。もしくは、自分は人に関わらない人だ、と思い込んでいる。言ってみれば、自分で自分を縛っているようなものです。
- コンフォートゾーンをテーマにした理由は何ですか?
- 私は、日経ビジネス主催の「課長塾」で多くのマネージャーと接してきました。コンフォートゾーンに居留まって「今さら新しいことを学んでも…」「僕には(難しい)...」などと言って、自分に制限をかけて自分を変えられないマネージャーを何人も見てきました。
私の友人とのある出来事が、ひとつのきっかけになっています。その友人は、学生時代はある意味あこがれの存在でした。ところが彼が40歳を過ぎた頃から、「お前たちはいいよな。俺は毎日つまんないよ。どうせ俺はこれで終わりだよ。」などと愚痴をこぼすようになったのです。私は悲しくなり、思わず彼に向かって「お前はそんなこと、もう言うな。もっとできるはずだ!」と言ってしまったのですが、彼がなぜ愚痴をこぼすようになったのかを考えるようになりました。
「もういいよ」「どうせ自分なんて」「今さら」などと、わざわざ自分で可能性を閉ざしてしまう。そんな人に一歩踏み出すきっかけを作りたくて、色々と研究しています。 - 自分のコンフォートゾーンから出るためにはどうしたらいいのですか?
- ひとつのやり方としては、「今までと違うことをやってみる」ことです。「いつもと違うことをするときっと××なことになるに違いない」と思っているが、実際はどうなるか試してみるのです。コンフォートゾーンから思い切り踏み出る必要はなく、ベイビーステップ(ちょっとだけ踏み出してみる)でよいです。無理をして出たときに傷つくようなことがあると、返ってコンフォートゾーンの中に引きこもってしまいます。少しずつ出ることで、コンフォートゾーンの枠を広げていくことができるのです。